|
『 Le 11 Février de 565
今日で六日目になる。王と早朝の散歩を始めて。
まだ安定期に入るのは早いと産婆から注意を再三に渡って受けているにも関わらず、私は王と連れ立って、霧がまだ残る涼やかな空気の中に入り込むのだ。
乱暴された翌日、私は出血をしてしまった。赤というより、黒のその色に、産婆は王に向かってどやしつけた。その剣幕はすさまじく、さすがの王も表情こそ崩さなかったが、反論の一言さえ洩らさなかった。
気分が悪い、私は王の顔さえ見るのも疎ましく、怯え、そして来訪を断った。だが王は、私を急きたて、半ば無理やりに外に連れ出した。初日は昼食も終えた和やかな空気の中に。
その時、産婆の青ざめたり、白くなったり、赤くなったりところころ変わる表情を私はおかしく眺めていた。流産するかもしれない、産婆が脅し寝台に押し付けた。だけど私は後宮の中にずっとはいたくなかったのだ。
「朝がとても清々しいのはなぜだと思う。それはな、朝日が昇る直後というものは、呼吸をする上で必要な成分が一気に増える時間なのだよ」
今朝、王は散歩に連れ出した理由をそう切り出した。
されたことなど忘れて、その時私は無邪気に笑う王を見上げた。かつて王がこれほどまでに砕けた表情を見せたことがあるだろうか。
剣で脅してでしか私を手に入れられない王だというのに。……以後略』

back 目次 next
 ←ランキングに参加中
素材提供:Heaven's Garden様
|